初めてシーサーが売れた日
その時、わたしは那覇の物産展で店番をしていた
わたしの作品はぜんぶで4つぐらい店頭に並んでいた
売り物になるものを作れるなんて、5年も6年も修行してからでないと
無理だと思っていたけれど、その日は、陶芸の工房に入って2ヶ月目の事だった
わたしはずっと店番をしながらそわそわしていた
誰かわたしのシーサー買ってくれないかな・・・買ってくれたらどれだけ嬉しいだろう・・・
少しでもわたしの作品に足を止めた人がいたら、つかさず行って
そのシーサー、わたしが作ったんです・・・って言って宣伝した
このシーサー見てたらこっちまで笑いたくなる・・・ってひと言 言ってくれた人がいた
わたしは飛び上がるぐらい嬉しくて、その言葉を言ってくれただけで充分だった
そのシーサーはわたしの自信作であった ほんとに、にこにこしていた
きっとそれを作った時、わたしは創造する喜びに満ちあふれて作っていたのだろう
その気持ちがシーサーにも反映されていたと思う
わたしが作った事を話すと 「買うよ」と言ってくれて、裏にサインを求められてびっくりした
わたしの大切な大切な宝物の想い出・・・売れる喜びを味わう初めての経験だった
いつの間に、わたしはその新鮮な気持ちを失うようになってしまったのだろう・・・
だんだんと、買ってくださる人に対する感謝の気持ちはなくなって行った
でも、感謝ばかりもしていられない厳しい現実がそこにはあった
もし、これが自分の努力と割に合う値段で売る事が出来るのならいいのだけど
とても割に合う値段で売る事など出来ない だってお土産屋の取り分は約半分だったから・・・
作っている人より、売っている人の方がお金を持っている・・・それが現実だった
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