作風の確立までに・・・

川島陽子 ・ ひだまりみかん

2007年07月29日 18:29

陶芸の工房の人達は皆、いい人ばかりだった
みんな本当にわたしの事を愛情を持って接してくれていたと想う
みんな、少ない給料で一人見知らぬ土地で生活していかないといけない為か
独立心と気が強い人が集まっていたように思う
確かに多少のいざこざもあったかもしれない・・・でも人をけ落としたり
そんな悪いことを考える人はいなくて、師匠は大らかで優しい人だったので
残業時間には自由にのびのびとオリジナル作品を作らせてもらう事が出来た
この事は、わたしにとって大きな大きな財産になった
仮にもし、この工房の定番商品以外作ったらいけないという規則があったとしよう
そしたらわたしは果たして、自分の作風を確立するという目標を達成する事が出来ただろうか
出来なかったに違いない。他の工房の人の作品を見たら、師匠とそっくりなものを作っている
この工房は代々伝わる工房で、わたしは勤務時間中には伝統的なシーサーを作って
いたけれど、残業時間には一生懸命、オリジナル作品の製作に取り組んだ
自分の作風を完成させる事が出来るなんて・・・一目でわたしが作ったと分かる作品を
作る事の出来る陽が来るなんて・・・そんなの夢のまた夢だと思っていた
ずっとずっと修行してやっと完成させられるものだと思っていた
だって、わたしは芸術には全くの素人だったから・・・
わたしは芸術とは無縁の街、商売の街で育ったから・・・
絵さえも描く事すら出来ない、そんなわたしが一体なぜ、自分の作風を完成させる事ができようか
それでもどうしても、自分の作風を完成させる事が目標だった
その為に、毎日毎日、徹底的に観察して観察して・・・色々な人の作品のいい所を見て・・・
そんな 「 感性を磨く訓練 」 をしていた
技術を得るのは意外とそう難しくない、でも、感性を磨くのは難しい事のように思う
わたしより技術を持っている人は山のようにいる
でも、あの当時のわたしは、誰よりも 感性を磨く訓練、努力をしていたと・・・
そう自信を持って言える そのぐらい、夢中だったから・・・

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